Diary 2007

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天山入口


★2004年5月〜2010年5月までの日記は、『日常で歌うことが何よりもステキ』に収録しました。
★2010年6月〜2011年6月までの日記は、『いやらしさは美しさ』に収録しました。


3月17日(土)


歌ったあと「力みすぎ」と注意されたことがある。伝えたい一心なのだが、その加減がわからない。人によっては、失神するくらい叫ぶとか、楽器が壊れんばかりにかき鳴らすとか、ぴょんぴょん跳ねたり、鼻水までたらしたり、熱演すれば観客も熱くなる。しかし、力みすぎは嘘っぽく思えすうっと冷めていく人も中にはいるに違いない。気になる言葉がある。

「世の中で狂人に一番近いものは政治家でも、宗教家でも、舞踏家でもなく、実に音楽家ではないだろうか。歌っている人の顔つきというものは、まったくただごとではない」(『安岡章太郎集2 音楽の授業』岩波書店)

「自分を表そうなんて思ったって表れはしないよ。自分を表そうと思って表している奴はこれはキチガイ。だいたいね、自己を主張している人はみんな狂的です。自己を主張するものがなんか傷つけられると、人を傷つけます。だけども、僕をほんとにわかってくれる時は、僕は無私になる時です」(『小林秀雄講演第一巻 文学の雑感』新潮社)

「言葉は自分で書いてはだめなんです」(池田晶子・大峯顯著『君自身に還れ 知と信を巡る対話』本願寺出版社)


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