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チャコと黒鳥


第1回 初めての合コン


 五郎ちゃんに誘われて、生まれて初めて合コンに行った。「2、3日帰って来ないからね」と言い残して……。
 五郎ちゃんは僕を乗せるのがうまい。「避妊具を忘れないでね。ウフフ」などとメールに書いてある。
 今回は五郎ちゃんの友だちシモンさんのセッティングだから、五郎ちゃんもどういう女性が現れるか知らないという。場所は新宿。4対4。僕は56歳、五郎ちゃんはもうじき55、相手は30歳前後(たぶん)である。
 予約した店がうまく取れず、騒々しい店になってしまった。しかし、そんなことはどうでもいい。初めての合コンだ。席に着く。自己紹介みたいなことをした。ビールを飲み、生春巻きを食べた。でも、いまひとつ盛り上がらない。終電車に間に合うよう、僕はトボトボと帰った。

 翌日、五郎ちゃんから、「もう懲り懲りですか? もしそうでなければ、またやりましょうね」というメール。「うーん、五郎ちゃんと喋っている方が楽しかったかな」と返事を打つ。
 そういえば、五郎ちゃんとは去年の1月、新年会をやったことがある。別名「女の子にお酒をいっぱい飲ませて押し倒しちゃう会」だ。これも不発だった。いまだかつて、五郎ちゃんの誘いでいい思いをしたことがない。
 いや、それは違う。実はその新年会、僕はすごく楽しかったのだ。あんな楽しかったのはいったい何年ぶりだろう、世の中にこんな楽しいことがあるなんてと思った。そのくらい僕は寂しかった。リエちゃんと五郎ちゃんが僕のために(?)いろんな女の子に声をかけてくれたのだ。
 その日、初めて逢った(正確には二度目なのだが)、○○さんに僕は一目惚れした。リエちゃんの料理は美味しく、「料理上手は床上手」なんていう格言で盛り上がり、オオニシユウスケさんも「料理上手はトコトコトコトコトコ上手」なんて早口で言ったり、面白かった。
 そのうち、女性器の呼び名が地域によって違う話となり、ある所では「おちょんちょん」と言うことを教わり、わー、なんて可愛いんだろうと思った。なにしろ酔っているから、ユウスケさんは電車の車掌さんになり、「次はおちょんちょん、おちょんちょん」と叫び、僕は僕で、「それじゃ、○○ちゃんのおちょんちょん、ちょっと見せてなんていういい方するわけ」などと、わざといやらしい男の手つきの真似をして、みんなで大笑いしたのだった。
 その後、僕は○○ちゃんと手紙を数回交わしたが、何を血迷ったか、勝手にのぼせてしまい、ああ恥ずかしい、返事がなくなり、それっきりになってしまった。すっかり、落ち込んだ。

 数ヵ月後、五郎ちゃんに会った時、どうしたらもてるようになるだろうねと尋ねた。そしたら、もてる三か条を教えてくれたのだ。1 まめになる。 2 チャンスを逃さない。3 何でもいただく。めげない。
 駄目だと思った。まめじゃない。タイミングが悪い。誰でもいいというわけには行かない(お互い様だが)。すぐめげてしまう。もてないはずだ。もう、降りようと思った。そんな時、合コンの誘いを受けたのだ。迷ったが、このまま引きこもっていてはいけない。もしかしたら、いい子に出逢えるかも知れない……。
 友人に報告した。すると、「奇遇ですね。私もついこの間、10年ぶりに合コンしました。3対3+行司1でやりました。もてないもの同士が集まるとみじめさが倍加します」という返事をもらい、思わず笑ってしまった。もてないのも楽しいかなと思った。

 ライブの打ち上げで提案した。「ライブ終了後に合コンあり、っていう企画どうかな」って言ったら、スタッフに却下された。4対4の話をした。佐久間さん、「えっ、4対4? それじゃ、気に入らなかったらどうするの? 20対20ぐらいじゃなきゃ」と言う。それだと、クラス会だよね。
 合コンにくわしかったのは事務所の女の子だ。ふだん真面目なのに、急に嬉しそうな顔になり、「3対3が理想なんです。その方が話しやすいし、席も入れ替わりやすい」「でも、話がかみ合わなかったりしたらどうするの?」「1時間ぐらいで解散する」だって。ひゃー、時間を無駄にしない。そして、いっぱい、やるんだ。いいなー、若い女の子は。

2004.5.1
 

2004年2月17日、メガネを買った帰りの電車の中、携帯SO505iで撮影。


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