Diary 2015

ホーム  自己紹介  ライブ  日記  エッセイ  書評  コラム  写真

12月  2015年1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月  2016年1月

坂本弘道さん、桜座 龍野治徳さん、熊坂るつこさん、やんてらさん、僕。甲府桜座にて 2015.11.28

12月21日(月)


若松英輔エッセイ集 悲しみの秘義』(ナナロク社)より。

 この数年来、春になると想い出す一文がある。むしろ、その言葉に心が領されるとき、春を感じる。石牟礼道子いしむれみちこの「花のふみを―寄る辺なき魂の祈り」(「中央公論」二〇一三年一月号)である。
 そこで石牟礼は、坂本きよ子という水俣病で亡くなった女性を語った。きよ子の母親から聞いた言葉として彼女は、次のように書いている。文中の「たまがって」は、驚いて、ということを意味する九州の方言だ。少し長いがそのまま引用したい。できれば、声に出して、ゆっくり読んで頂きたい。一度でなく二度、読んで頂きたい。

 きよ子は手も足もよじれてきて、手足が縄のようによじれて、わが身を縛っておりましたが、見るのも辛うして。
 それがあなた、死にました年でしたが、桜の花の散ります頃に。私がちょっと留守をしとりましたら、縁側に転げ出て、縁から落ちて、地面に這うとりましたですよ。たまがって駆け寄りましたら、かなわん指で、桜の花びらば拾おうとしよりましたです。曲がった指で地面ににじりつけて、ひじから血ぃ出して、
 「おかしゃん、はなば」ちゅうて、花びらば指すとですもんね。花もあなた、かわいそうに、地面ににじりつけられて。
 何の恨みも言わじゃった嫁入り前の娘が、たった一枚の桜の花びらば拾うのが、望みでした。それであなたにお願いですが、ふみば、チッソの方々に、書いて下さいませんか。いや、世間の方々に。桜の時期に、花びらば一枚、きよ子のかわりに、拾うてやっては下さいませんでしょうか。花の供養に。

若松英輔『悲しみの秘義』

12月16日(水)


amazonに注文していた本、鹿子裕文『へろへろ 雑誌「ヨレヨレ」と「宅老所よりあい」の人々』(ナナロク社)を受け取り、トイレで読む。続けて、お風呂に持って行き、半身浴で第3章まで読む。身体を洗ったあと、再び半身浴で(これまで僕は半身浴の習慣などなかったのだが)第4章まで読みふける。上がってからも、すぐに続きを読みたくて、椅子に座り(いつもならベッドに横たわりながらなのだが)最後まで読んでしまった。面白いのだ。すごく面白い。

鹿子裕文『へろへろ』

12月11日(金)
夕方、お酒を飲みながら夕飯を食べると、8時、9時には眠くなってしまう。すると必ず夜中に目が覚める。夜明けだったらいいのだが、11時30分だったり、2時14分だったりする。再度、寝ようと試みるが寝付けず、読みかけの本を読む。昨日は『佐野洋子追悼総特集(河出書房新社)を読んだ。

数ヶ月前から、軽い鬱状態、悪化するといけないので精神安定剤を飲み続けている。ものごとを暗く考え思ったことを率直に言えず(あるいは言いすぎてしまい)、いつまでもくよくよする。昔、心配事があると母は僕に、「なるようにしかならないから」と慰めた。そう思うと少しだけ楽になる。

12月5日(土)


婆やに茶碗蒸しを作ってもらった。僕が好きな汁気が多いやつだ。しかし、婆やは鶏肉が嫌いだからといって食べない。食べるものも飲むものも違う。「伊豆に引っ越そうか」「温泉に行こうよ」と誘っても、「女と行ってくればいいじゃない」とあっさり拒否される。どうしてこんなに趣味が合わない女と結婚してしまったのだろう。
「騙された」
「私も騙された。佐久間さんにも言われたじゃない、悪い意味で子どものような人って。感性だけが好きで結婚したけれど、男として最低、人として最低」
「あー、人生やり直したい」
「やり直してもあなたは同じだよ。私は違う。もっとお金持ちと結婚するから」

12月1日(火)


末井昭「結婚」
◎篠原勝之「骨風(文學界平成二十五年七月号/文藝春秋)
◎水木しげる『水木サンの幸福論(日本経済新聞社/角川文庫)
幸福の七カ条
第一条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
第二条 しないではいられないことをし続けなさい。
第三条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追及すべし。
第四条 好きの力を信じる。
第五条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
第六条 怠け者になりなさい。
第七条 目に見えない世界を信じる。


12月  2015年1月  2月  3月  4月  5月  6月  7月  8月  9月  10月  11月  12月  2016年1月

ホーム  自己紹介  ライブ  日記  エッセイ  書評  コラム  写真