10月22日（水）
石川セリさんの「セクシィ」（作詞作曲・下田逸郎）という歌をたまたま知り、いいなと思った。一度聴いても僕はすぐに覚えられないので何度も練習をした。
10/13は、ちょうど台風が東京を通過する予報であった。よく「雨男」とか「私、晴女なの」とかいうセリフを耳にするけれど、僕は信用していない。ムキになるわけではないが、それは偶然であり、絶対ではない。自然には逆らえない。
神保町試聴室は歌いやすいのだが、ライブは始ってみないとわからない。すべては自分のせいであるが、思うように行かない場合がある。この日は、ちょっと走ってしまった。もともと、せっかちの性格のため、テンポがだんだん早くなってしまうのだ。もっと、ゆったりと、偉そうに、もったいぶってやってもいいのかも知れないが、ゆったりと、偉そうに、もったいぶってやっている人を見ると、早くやれと思ってしまう性分だから、しょうがない。
帰宅途中、どっと寂しさが襲ってくる。歌い終わって、テンションが上がりっぱなしの場合もあるが、一人だと、だいたい落ち込む。大げさに言えば、出しきってしまったような、あるいは、出しきれていないような、空しさである。
10/4、5は、札幌と旭川で歌った。北海道は4年ぶりだ。札幌くうでも旭川アーリータイムズでも、比較的、落ち着いて歌えた。しーんとした中に、目をつむって聴いている人もいれば、横揺れしている方もいて、歌が溶けてゆくようであった。10月1日（水）
9月17日、都築響一さんの「スナック芸術丸」に出演するため、DOMMUNEスタジオへ行く。本番前にちょっと雑談。
「この間、カラオケで『天使の遺言』を歌ったら、いつもよりうまく歌えたの。どうしてかなと思ったら、ピアノを弾きながらじゃないってことに気づいた。でも、歌手のようにマイク握って歌うのは恥ずかしいし」
「早川さん、カラオケやるんですか？」
「連れて行かれたんです」
「今度うちに来て下さいよ。新宿荒木町でカラオケスナックやってるんです」
「僕が行ったのはカラオケボックスで。バーとかスナックは、どうも行く習慣がなくて」
「スナックは、ママさんのお家のこたつに入ってお喋りするようなあったかさがあるんですよ」
「スナックって言葉、ちょっと古いんじゃないですか？ 『♪小さなスナック』とかいう歌ありましたよね」
「いや、今はスナック、新しいんです。若い人たちからも人気で」
「えっ、ホントですか？」
都築さんが『たましいの場所』の一部を朗読してくれた。声にじーんと来る。いいところを引き出してくれる。本屋時代の苦労話、写真は写す人の気持ちが写ってしまう、言葉は意味ではなく言わんとするところをつかまえなくちゃなど、話が面白かった。
もともと、都築さんとは朝日新聞の書評欄で一緒だった。神保町試聴室でのライブをラジオで流してくれたり、新宿裏窓にも聴きにきてくれた。観に来た女の子が、「都築さんて、近寄りがたい人だと思ってたけど、想像と違って、あったかみがあって、でも、とがってる。誰も知らないもの、眠っているものまで見つけてしまう。おんぶされたい」と言っていた。9月27日、HONZIが亡くなってから7年が経つ。「HONZIに聴いてもらいたい歌」に出演。初めて吉祥寺キチムへ行く。美味しそうなお店やおしゃれなお店がいっぱいあってびっくりした。住みたい街ランキング2014の1位に吉祥寺が選ばれていることに納得する。
演奏後、HONZIのライブ映像が流れた。HONZIは髪を金髪に染めている。病気になる前だ。リクオさんがピアノを弾き、「GATERA-GATA」を歌っている。これまで聴いた「GATERA-GATA」の中で最高のバージョンでないだろうか（YouTubeにはアップされていない）。「♪今度 会いに 行くね いつかきっと 会えるよ 早く 会いに 行こう いきなり行って KISSをする ガティーラ・ガータ ガータ・ガティーラ」。バイオリンを弾き出す、瞬間の音。天才である。
帰りがけ、HONZIのご主人出射慎二さんからアコーディオンをいただいた。「早川さんにアコーディオンをあげて。」という夢を出射さんが見た話をかつて人づてに聞いたことがある。HONZI、ありがとう。
