Diary 2013

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ひとり温泉(乳頭温泉郷 妙乃湯)2013.12.3

12月1日(日)


山形と鶴岡、2ヶ所のライブを組んでくれたのは神野智行さんである。今年1月NHK「おやすみ日本」で初めて僕の歌を聴いたのがきっかけらしい。その後、手に入るCDを聴き、本も読み、2月の渋谷、3月、8月塩竈でのライブも観に来てくれた。わずか10カ月の間、自分の中だけに留めておくには飽き足らず、僕の歌を知らない人にも聴いてもらいたくなり、ライブを企画してくれたのだった。

ぶっきら棒なメールが届いたのは9月上旬だった。危ない人として関わらなくても良さそうにも思えたが、僕は案外と丁寧に返事を書いた。僕は人に対し礼儀知らずなところがあって、それゆえ、相手のぶきっちょさに対してはかなり寛容なところがあり、つまり、自分と同じように思え、不快に思えなかったのだ。あとで知ったのだが、神野さんはライブなど一度も企画をしたことがなく、どうしてよいかわからぬまま、酔った勢いで携帯から送信してしまったらしい。

改めて、正式なライブの誘いが届いた。今度はうって変わって丁寧な文面であった。前向きに検討しますと返答したあと、数回メールのやりとりをしているうちに形が決まって行った。山形1本だけではなく鶴岡も含めて話を進めてくれた。鶴岡なんだ屋は、2011年3月、秋田の翌日、佐久間正英さんと行くことになっていたのだが、東日本大震災の影響で、急遽取りやめになってしまったところだったことを思い出した。実現する運びになったのは、サトウ正春さん、イナプラネチャーニンさん、なんだ屋さんたちのおかげである。

山形から鶴岡までは、アマリリス(さとう)さんの運転で、神野さんと3人で移動した。車中、モテない者同士で「どうしたら女の子にモテるだろうね」という話を延々とした。途中、お蕎麦屋さんに寄った。山形の板そばをごちそうになった。最初、靴ひもみたいに感じて、お土産として買っていくほどには思えなかったが、数時間たってから、あとを引く味であった。食べ慣れていなかっただけで、恋しくなる美味しさであった。

鶴岡なんだ屋さんはデジタルピアノだ。昨日がグランドピアノだったため、最初は違和感があったが、PAの西澤さんが快く対応してくれたため、気持ちよく歌えた。歌う前に、神野さんから、昨日は、急いで歌っているように思えたので、ゆったり歌って下さいねと注意を受けていた。頑張るのではなく、楽しまなければいけない。シーンとした空気、目を閉じている男性、ハンカチで口元を押さえている女の子がステージから見えた。

終演後、打ち上げに参加。みんな気さくで良い人たちだった。「みんな、何を基準に異性を選ぶ?」と質問した。「話が合う人」「空気のような存在」「スタイル」「顔さえよければあとは何でもいい」という人もいた。人に訊いといて、僕は何と答えればよいか迷った。「僕を好きな人」かなと思った。僕のことを好きでなければ何も始まらないからだ。しかし、僕がその人を恋愛対象として見ていなければこれも進んでいかない。どうしたら相思相愛になるか、結局は、わからなかった。

11月30日(土)


山形蔵オビハチはステキなところだった。神野さんに「今日は、どのくらい入りそうですか?」と訊くと、「予約は10人弱です。当日、期待しているんです」と言う。10人弱と聞いて、一瞬、ガクッときたが、神野さんが一所懸命宣伝したにも関わらず、この数字は、いかに自分の名が知られていないからであってしょうがない。リハが終わったころ、ふくちゃんクリニックの木原先生から予約が入ったことを知らされた。僕は嬉しくて数字のことを忘れた。予約と当日の料金が同じだったせいだろうか、最終的には31人の方が見えて、椅子もなんとなく埋まり、ほっとした。

木原先生に、急遽、飛び入りで1曲歌ってもらった。終演後、木原先生を駐車場まで送って行く道すがら話した。「早川さん、20年前ジァンジァンで歌っていたころと比べると、ピアノの音数が多くなりましたね」と言われた。自分ではまったく気づかなかったことなので、ちょっとびっくりした。未だに僕はアドリブで鍵盤を弾くことはまったく出来ず、いつまでたっても、簡単なメロディも綱渡り状態、いつ、ポロッと間違えるかわからないくらい不安定なのに、音数が多くなったとは。

音数が多くて、複雑であれば、多くを語っているとは限らないことは十分承知しているのだけど、もしかしたら、ソロでやる時、心細さを感じて、僕は自分のレベル以上のことをしようとしているのだろうか。その話を神野さんにしたら、「いや、それは、早川さんの演奏中、HONZIや佐久間正英さんの音が聴こえて来るからではないですか」と言われた。木原先生の感受性も神野さんの感受性もステキだなと思った。


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