3月30日(土)
長野ネオンホールでライブ。Da Rue、久保田奏江さんと、急きょセッションをすることになり、「のーとちゃん」「サルビアの花」を一緒に歌う。やすみさんの声は若く、大島さんのベースは太かった。3月24日(日)
ホテルから一番近い場所で佐久間正英さんとお昼ごはん。「讃岐釜揚げうどん丸亀製麺青森店」だ。僕はあまり外食をしないので、店名もチェーン店であることも知らなかった。周りは何もない閑散としたところなのに、店内は人がいっぱい。並んでいる。湯気と活気。佐久間さんから注文方法を教わる。「うどんの種類を選んで、好きなものをトッピングで入れるんだよ」。
高くて美味しくて感じが良いのは当たり前だけど、安くて美味しくて感じが良いと僕はえらく感激してしまう。えびも春菊の天ぷらもうどんもおつゆもあまりに美味しかったので、いかに僕は普段美味しいものを食べていないかと悲しくなった。それとも、青森の空気が美味しかったのかしら。
竹森整骨院の隣に常設されているBJ boulevardにてライブ。場所が移転したばかりだったこと、竹森先生の体調が万全でなかったため、宣伝が行き届かなかったかも知れない。無理をしていただいて申し訳なかった。お客さんは少数だった。いかに僕の名が知られていないかだ。HPやツイッターでいくら告知をしてもみんなには伝わらない。
ステージから見覚えのある顔があった。今回もお友だちを誘って観に来てくれた姉妹だ。ほっとする。頑張れる。竹森豊晴さんは、かつて、東京まで僕のライブを数回観にいらしてくれている。その時は、まさか青森からいらしているとは思わなかった。好きになっていただける方は熱い。
終演後、ある男性が「初めて聴いたんですけど、1部では(いやらしい歌が多くて)帰りたくなってしまったけど、2部ではすーっと入って行けました」「あれ? そんなに違いはなかったんだけどな。もっといやらしい歌はあって、今日は歌わなかったくらいで。だいたい、女の子の方がHな歌を受け入れてくれるね。男の方は、そこまで歌うことないじゃないかと批判的になってしまう場合がある。考えてみれば、僕も男からは、いやらしい歌、聴きたくないかも知れない」
翌日(3月25日)、昨夜観に来てくれた花田玲子さん姉妹が新青森駅まで、送りに来てくれた。「あれ? なんで時間知ってるの?」「だって、打ち上げのとき聞きましたもの」「えー、全然覚えてない」「それにしても、よく、この場所で逢えたね。偶然とは思えない」「私たち、追っかけだから」
佐久間さん「嬉しいね」
僕「また来なくちゃね」3月23日(土)
塩竈ふくちゃんクリニックの待合室でライブ。オープニングアクトは院長の木原政博 先生だ。リハーサルで初めて歌を聴く。「♪僕はただのガラス玉さ 君はいつもダイアモンド」(ねがい)。切ない。ピアノと歌が上手なのでびっくりした(上手という言い方は失礼かも知れないけれど)。
ところが、ピアノのペダルを踏んでいない。「あれ? どうして踏まないでキレイな音を出せるんですか?」「最初、ペダルのない安いキーボードで練習していたから、それに慣れてしまって、音を伸ばす時、鍵盤を抑えっぱなしなんです」「じゃ、次のコードに移るとき大変だ」「そう、あわてると間違える」
開演まで、控室で木原先生としばし談笑。「『たましいの場所』に追加された文章を読むと、早川さんは不倫とか浮気とは違うのですね」「はい、恋愛です」「それを奨励している奥さんに講演してもらいたいって、うちの看護婦さんたちが言ってました」「それは無理だ。『団塊の世代』を「だんこん」って読んでしまうくらいおバカさんだから」
「僕は吃音なんです」と木原先生が言う。「えっ、気付かなかった」「さ行はいんですけど、か行がだめで。つい最近でも、電車の切符を買う時、窓口で行き先を伝えますよね。その時、『子安』を買いたいのに言えないから、『新子安一枚』って買いましたもの」
でも、不思議ですね。歌だとメロディーがあるからスムーズに歌えて。うちの母親も亡くなる前日、それまで何を喋っているのか全然聴き取れなかったのに、童謡を歌い出したら、危篤とは思えないくらい歌えましたから、歌の力というか、音楽の力ってすごいですよね」
「昔、早川さん、どこかに書いてましたね。本当のことを言う時はどもるはずだと」「そう、結婚して下さいとか、好きですと告白する時は、どもってしまう方が信じられると。『ベートーヴェンの第五が感動的なのは、運命が扉をたたくあの主題が、素晴らしく吃っているからなのだ』(音、沈黙と測りあえるほどに)と武満徹が書いてますものね」
3月16日(土)
本屋時代、原マスミさんの「♪東京中でいちばん可愛い君」(天使にそっくり)をBGMでかけていたことがある。いい歌だなと思った。真似て歌おうとしたが、リズムが難しく僕には手に負えなかった。それでも時々口ずさんでは、こういう歌が作れたらなと思っていた。
原さんのお誘いでジョイントライブを南青山マンダラでさせてもらった。妙な緊張感があった。歌い終わって、客席で原さんの歌を聴かせてもらった。なんと、見渡す限り、女性客が多いことにびっくりした。原さんは歌いながら、拍子を取るために、頭をカクンカクンと後ろにそらす。それが色っぽい。
「♪みんなが君のことちょっとおかしいって言うけれど 僕は構わない 君のためにくたびれて もし亡びても ずっと二人で一緒に居よう 冬の動物のように ぴったり寄り添って さぁ君のスカートの中に 僕をくるんで 抱きしめておくれよ」(血と皿)。
セッションの時、原さんは「ここは一緒に歌いましょうね」みたいな合図を僕に送る。その目つきが(原さんは意識していないだろうけれど)まるで恋人同士のようなのだ。照れてしまった。