Diary 2012

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チロリアンランプ 2012.12.1

12月23日(日)


演奏中、そうる透さんと目が合うと、ついにっこりしてしまう。息がぴったりというのは、ホントに嬉しくなってしまうものだ。今日は「Ces Chiens 忘年会ライブ ワンワンワン!」(渋谷Last Waltz by shiosai)。ゲストにドラムの透さんをお迎えして8曲(3人編成)参加してもらった。その間、佐久間正英さんはギターからベースに持ち替えての演奏。ギターを弾けばベースが欲しいとは思わず、ベースを弾けばギターが欲しいとも思わない。不思議である。

終演後は自由参加の忘年会。「どのくらい練習したんですか?」という質問に、「一時間ぐらい。一曲ずつ、テンポとサイズの確認だけ。どうしようこうしようなんて、もめたりはしない。ね、佐久間さん」「そう、たとえばエンディングなどの約束事は一番簡単な方法をとる。そういうことは大した問題ではないから」。大切なことは自分の中だけで解決する。

うまくいくかいかないかは音を出し合えばすぐわかる。しっくり来ない、ちょっと違うなと思ったら、いっくら時間をかけても無駄である。人を選んだ段階で音は決まってしまう。性格が変わらないように音を変えることは出来ない。

佐久間正英さん、そうる透さん、サウンドチェック 2012.12.23

12月19日(水)


本屋で『レコード・コレクターズ2013年1月号 ニッポンのギタリスト名鑑』が目に入った。佐久間正英さんが当然載っているだろうと思ったので、ページを開いてみると、載っていない。ポカンとしてしまったが、不思議なことはよくあるもので、ムキになる話ではない。

どこの社も一種のくせを持っていて、ある傾向に偏る。先日、朝日新聞編集の中島鉄郎さんから、荒木惟経さんの名言を教えてもらった。「『あのさー、編集って要するにひいきだろ』というものです。『編集=ひいき』、編集者の仕事はひいきすること、頷きました」とメールに書かれてあった。

ある書き手に原稿を依頼し、ある書き手は無視する。批評家も誰かしらを「=ひいき」する。つまりは、ファンと同じだ。僕もそうだ。何かを選ぶ場合、たとえば、恋人を(いればの話だが)「=ひいき」する。何のことはない、いい悪いではなく、所詮みんな、好きか嫌いか、好むか好まぬかの問題だ。

専門家の発言が正しいとは限らない。聞いたり読んだりした知識ではなく、自分の目と耳で感じとった感性、直感を信じる方がいい。音楽は自分の身体の中にしか流れていない。

12月11日(火)
二階堂和美さんインタビュー記事(杉本恭子の坊主めくり)より。

そのとき読んでいた早川義夫さんの『たましいの場所』のなかに「音楽を手段としてではなく、音楽を目的にしている人だけが、悲しみを表現できる。悲しみは作り出せない。悲しみは張り付いてしまったものだ。染み付いてしまったものだ。隠すことも、ごまかすことも出来ない。にじみ出てしまうのである。」という箇所があって「あ、にじみだ。」と。そう、これは作ったんじゃない、にじみ出てきたものだった、って。私にとって染み付いたものだし、聴いてくれる人にもシミみたいにしっかり染み込んでいってほしい。内面からにじみ出るものと外側から染み込んでくるもの。ハッキリ重ねるというよりは、人と人とが、事柄と事柄とが、バンドのメンバーの音もそうだったし、お互いの色がにじみ合っていく水溶性の感じ。いくらでも溶けあって混ざりあえる寛容さというか、むしろ濁ることで出てくる深みとか、そういう味わいのものでありたいと思ったんです。

12月10日(月)


浜田真理子さんの「骨董屋」をYouTubeで聴く。なんてステキな歌だろう。軽く歌っている。練習してみたけど、とても真似は出来ない。恐れ入りました。

12月6日(木)


「冬に読んだ本や、冬になったら思い出す本。冬に出会った本や、まるで冬のような本」を紹介するエッセイの依頼が夏葉社からあったのは、3ケ月ほど前だった。

「冬の本」と言われても、僕はものを考える時、あまり、季節とか時代は関係ないから、自分だけピントがずれてしまうような気がした。「ミシマガジン」というサイトに夏葉社代表島田潤一郎さんのインタビュー記事を見つけた。出版社を始める前、沖縄でアルバイトをしていた時、女の子に恋をし、付き合っては振られる話が面白くて、島田さんが書けば「冬の本」になるのになと思った。

冬の本』(夏葉社)は、84人もの執筆者がいる。『たましいの場所』(ちくま文庫)と同じく12月12日発売です。

12月1日(土)


先日、二階堂和美さんがRCCラジオで『たましいの場所』を紹介してくれた。facebook「日々感謝。ヒビカン」を開くと、「チビチビ読むのがオススメ」とあり、二階堂さんが本を持って司会者の方たちと笑っているステキな写真があった。

単行本は晶文社から発売中だが、12月12日ちくま文庫になる。宮藤官九郎さんが帯文を、七尾旅人さんが巻末エッセイを寄せてくれた。カバーデザインは羽良多平吉さん。僕も書下ろしを一編加えた。僕が日ごろ思っていることはこの一冊に集約されている気がする。

『たましいの場所』(ちくま文庫)装幀 羽良多平吉


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