Diary 2012

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「イカ女と猫のミータン」開演前、柴草玲さんと池袋鈴ん小屋控室で 2012.8.4

8月18日(土)


高田渡詩集『個人的理由』(文遊社)が復刊された。1969年私家版が出版されてから43年ぶりである。渡ちゃんが18歳から20歳までに書いた詩だ。「♪三条に行かなくちゃ 三条堺町のイノダヘネ!」と歌い出される<コーヒーブルース>や<日曜日>、僕が勝手に曲を付けた<シャンソン>、<君の亭主>も載っている。

<君の亭主>の時はよく憶えている。電話口で僕は歌って聴かせたのだ。「ここんとこ、ちょっと字余りだから、削ってもいいかな」と訊くと、「いや、そのままでも歌えるでしょ」とたしなめられた。たしかに、練習してみると、なんのことはない、原型のまま歌えた。渡ちゃんの歌作りはそうだ。メロディより言葉を大事にする。一つの音符の中に言葉をぎゅっと詰めたり、あるいは伸ばしたり。その方が同じメロディを歌っても自然と変化が出る。

今回は、初単行本化の詩12篇も加わり、著者自身が撮影した写真も収録されている。映画のワンシーンのようだ。ハードカバーだから厚さが違う。私家版は5ミリだったが、文遊社版は2センチある。装丁がいい。私家版とそっくりだ。なんと品のいいことよ。音楽もそうだ。人が加わると、何か企みが入ると、とかく装飾したくなるものだが、手を加えないという方法もあるのである。


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