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エッセイ 26

歌の定義

桜 2011.4.11


音は頭から生まれてこない。言葉も頭から生まれてこない。

無駄な音をなくせ。無駄な言葉をなくせ。どうでもいいことにエネルギーを燃やすな。

言葉はいらない。理屈もいらない。歌だけを聴きたい。

わかっていない人は、喋ってもわからない。わかっている人とは、喋る必要がない。

わかるということは直感である。勉強したってわかるものではない。わかるということは知ることではなく感じることである。

もちろん「わからない」という答えもある。

人生は「わからない」だらけでいい。

人に認められて初めて肩書きがつくのであって、自分で肩書きを名乗るものではない。

ジャズとロックとクラシックと歌謡曲とニューミュージックがあるのではない。
じーんとくる歌と、じーんとこない歌があるだけだ。

歌を歌うということは、何も歌を歌うということではない。
話をしたり、笑ったり、怒ったり、ものを書いたり、悩んだり、子供を生んだり、走ったり、そうやって生きていくということすべてが歌を歌うということなのだと思う。どれだけステキな生き方ができるか。どれだけ人をじーんとさせることができるか。日常で歌が歌えれば、それに越したことはない。

言いそびれてしまったこと、本当のこと、心の底でくすぶっているもの、それが歌になればいい。

歌を作って歌うということはプロポーズと同じである。うまいへたは関係ない。自分の言葉と自分の音で表さない限り、説得力はない。

自分を語れ。作品で語れ。自分自身が作品なのだ。

一度信じたら信じとおせよ。

あなたはあなたの歌しか歌えない。僕も僕の歌しか歌えない。

歌を歌うのでない。言葉をかりて、メロディをかりて、自分を表現するのだ。

仮にどんな歌を歌っても、あなたの声で歌うならば、必ずあなた自身が浮かび上がる。
歌は言葉ではない。メロディでもない。声なのだ。息づかいなのだ。

声に出る。顔に出る。言葉に出る。音に出る。生き方や考え方がすべてに出る。

いい歌を聴きたいのではない。いい人に出会いたいのだ。

得ることによって強くなるのではない。捨てることによって強くなるのだ。

互いのよさを引き出せるかどうかで仲間が決まる。

いいと思わないなら近寄ってはいけない。いいと思わないなら作ってはいけない。いいと思わないなら売ってはいけない。

言われた通りにやるっていうのもいいもんだ。くだらないプライドは捨てよ。守るべきものはもっと他にある。

「何を伝えたいのか」って質問されてしまうのは、歌に力がない証拠である。

うぬぼれが人を傷つけ、自分をも傷つける。

他人の醜さが見えてしまうのは、自分もそうだからである。

人と人との関係は、上下ではなく、距離である。

好きな人の前では本当のことを言おう。好きな人の前ではいっぱい恥をかこう。

いいものはどこにでもおさまる。

歌は人を映す鏡である。

寝るときは犬になれ。猫になれ。

一回だけ、やりませんか。一回だけ、僕とやりませんか。一回だけ。もしも、お互いに気に入ったら、もう一回。また、もう一回。一回だけ。

すべての関係が一回きりなのだ。